Arthur Fiedler / Boston Pops // Rhapsody In Blue

Hi-Fi-Record2011-01-27

 ラプソディ・イン・ブルーは、ポール・ホワイトマンの依頼をもとにガーシュインが作曲した。クラシックの技法を生かしたシンフォニックなジャズに関心を深めていたホワイトマンの意向を踏まえて、当時まだオーケストレーションに未熟だったガーシュインに代わり、ファーディ・グローフェが編成の大きなオーケストラ向きに編曲し直した。
 ガーシュインの死後に、グローフェはもう一度、編曲している。今日聞かれるのはこのヴァージョン。もともとは小編成の室内学的なオーケストラのために書かれた。ぼくはこの初期のヴァージョンが一番好き。
 

 ついこのあいだバーンスタインがピアノを弾きながら指揮をするライヴ映像を見た。汗だくになりながらのダイナミックな演奏に驚いた。
 気がついてみると、ラプソディ・イン・ブルーは、複数の演奏家によるCDやらレコードやら映像やらを持っている。どうやらボクはこの曲が大好きなようで、それもどうしてなのかと考えてみたら、その理由はすぐに思い付いた。


 アメリカに買い付けに行くたびに、ラプソディ・イン・ブルーを聞いているからだ。ユナイテッド航空が、CMで用いたり、機内で流したり、乗り継ぎのために歩く通路で流していたり、ひんぱんに用いている。これが何かしら体にしみ込んでいたのだろう。


 ぼくにとっては、アメリカに買い付けに向かう興奮と結びついている曲。クラリネットがするするとグリッサンドして上昇する冒頭のあのフレーズを聞くと、気がはやる。
 ガーシュインは、ボストンに向かう汽車の走る音から曲の冒頭部分を思い付いたのだという。

 ガーシュインのボストン行きの汽車。
 ボクのアメリカ行きの飛行機。
 なんだか楽しい。


 ボストンの名門オーケストラによるラプソディ・イン・ブルー。指揮はアーサー・フィードラーだ。(大江田信)


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