Nancy Sinatra ナンシー・シナトラ / Boots

Hi-Fi-Record2011-02-24

 昨日のブログで見過ごされがちなレコードとして、ラニ・ホールの「Sun Down Lady」のことを書いた。これを松永君が読んでくれいて、「このレコードのことも、忘れていたでしょう?」としてナンシー・シナトラの「Boots」を示された。



 実を言うと冒頭の「As Tears Go By」をブラインド・テストされた。残念ながら制限時間のなかで答えが出せなかったのだが、それはこの冒頭のギターの響きが、だれかの曲のイントロと似ているなと考え始めたからでもある。
 誰かのイントロ、そうフォークのアーチストの思いかけないボッサ風のジャジィな曲で使われていたオトとそっくりだ、誰のどの曲だったっけと、のどの奥に引っかかった感じでしばらくいたら、そうだ、マイク・セトルの「Someboday To Talk My Troubles To」と似ていると思い当たった。



 「Boots」のアレンジは、ビリー・ストレンジである。西海岸のセッション・ギタリストでセッション・リーダー。ナンシー・シナトラのアルバムやシングルを手掛けヒットさせたほか、オヤジさんのフランク・シナトラディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.といったシナトラ一家の作品でアレンジャーの仕事をしている。古くはナット・キング・コールとも働いた。フォークのインスト・アルバムを作ったこともある。それだけじゃない、プレスリーに曲を書いたこともあるシンガー・ソングライターでもある。



 マイク・セトルのアルバムは、今手元に無いので確かめられないのだが、マイク自身のアレンジだったはず。ニュークリスティ・ミンストレルスを始め、いくつものアルバムで制作やアレンジの仕事をして来た彼のこと、自身のソロでも自分でアレンジしたのではないか。





 「As Tears Go By」のイントロは、最高だ。それにしても二つの曲のよく似たイントロは、たぶん二人がギタリスト出身のアレンジャーだからなのだ。ギターの特性をよく知る者が考えるイントロだと思う。



 本題のナンシー・シナトラの話はまたこんど。今日はイントロでおしまいに。(大江田信)



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