The Maile Serenaders / Evening In The Islands
今日の午後も暑かった。明治通り側で作業をしていると、体にじんわりと汗がにじむ。無闇やたらとクーラーをかけるという訳にもいかないので、ちょっとかけては消し、それをくり返した。
なんとなく店内でかけていたレコードで、いちばんピッタリきたのがこれだった。
ハワイの名門、フラ・レコードのセッション・ミュージシャンたちが集まって、演奏したインストゥルメンタル集。
ちょっと蒸し暑い午後、何となく聴いていてピッタリくるというのは、どういうことなのか。
気持が追い込まれないこと。
音楽の全体像がなんとなく把握出来ること。わからないと、余計に気になる。
金属的な響きが無いこと。
「これが私です」的な過剰な自己主張がないこと。
適度に知っている曲が流れること。
セッション・ミュージシャンといっても、実に豪華メンバーである。ギャビィ・パヒヌイ、エディ・カマエ、チャールス・カイポ・ミラー、ソニー・カマヘレ、エディ・パン、バーニー・アイザックス。わかる人には、よくわかるはずだ。
音楽には適度な親密感が流れている。普段によく顔を会わせるメンバーたちが、すでに体に染み込んでいる音楽を、気をてらわずに表現しているからか。
インストってこういう時にいいなあ、人の声が無いほうが、いいのかもしれないぞと思って、聴くとも聴かずともの状態でいたら、突然に曲の最後の最後のホンの数小節だけ、女性の声が流れた。
不意打ちに、おっと思う。
なんということだろう、絶妙に色っぽい。
意図されたことなのかどうか、レコードには彼女の名前はクレジットされていなかった。(大江田信)
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