Duke Ellington デューク・エリントン / The Ellington Suites

Hi-Fi-Record2011-06-20

こないだ外でお茶をしていたら
どこかで聴いたような曲が流れてきた。


BGMに耳をすますと
スティーヴィー・ワンダーの「ザット・ガール」という曲だった。
地味ながら
ヒット曲。


ぼくが中一くらいの年に流行った曲だから
よけいに覚えているのかも。


だが
ティーヴィーと刷り込みということで言うなら
やはり
ぼくの世代の日本人にとっては
「サー・デューク」ということになるだろう。


この曲の
マーチング・バンド風のイントロは
ひらけ!ポンキッキ」の番組内で使われていたし、
キャンディーズ
この曲を歌っていたのだ。


当時はその“デューク”がいったい何なのか
まるでわかっていなかった。
「愛するデューク」という邦題も
混乱に拍車をかけていたとも思う。


音楽界の大先輩デューク・エリントン
なぜかぼくたちの意識のなかでは
外人の恋人“デューク”に変換されてしまい
ずいぶん長いこと
頭のなかでうまく結びつかなかったのだ。


今となっては
その“わからなさ”を
尊いものだったと思うときもあるけれど。


その「サー・デューク」を収録したアルバム
「ソングス・イン・ザ・キー・オブ・ライフ」が出た76年、
エリントンはもう亡くなっていたけれど
こんな未発表音源が新譜として発売されていた。


収録曲のうち
「ザ・クイーンズ・スイート」という曲は
イギリス女王エリザベスそのひとに
進呈するために作られた曲で
長い間、女王とその周辺以外には未発表のままだった。


イギリス女王ただひとりに聴かせるために
つくった曲があるなんて。
ティーヴィーでなくても、
やっぱりデュークは偉大な音楽家だと感嘆するしかない。(松永良平