Jim kweskin Jug Band / Garden Of Joy

Hi-Fi-Record2006-06-14

 先日、ジム・クエスキン、ジェフ・マルダー、ジョン・セバスチャン来日に際して開かれたライヴに出かけた。


 このところの新作はもちろん聴いていたけれども、ちょっとお歳を召したこともありバリバリのミュージシャンという印象は持っていなかったので、ジム・クエスキンの現役感に満ちた演奏に驚いた。両足を開き気味にしてしっかりと立ち、きちんと前を向いて歌いながら、難しいテクニックを織り交ぜたギターをさりげなく弾いていた。手元を見ていなかった。


 その昔、ちょこっと彼らのレパートリーを仲間でコピーしていたことがあり、その頃おそらくGフォームで弾いているに違いないと思いこんでいた「Somebody Stole My Gal」が、なんとAフォームで演奏されていたことに、心底から驚いた。1弦の5フレット目からドシラソファミレと降りてくるメロディを、Aフォームで弾いていたなんて。ヤツの手は相当に大きいに違いない。握力も相当なもんなのだろう。う〜むと思っていたら、後日、友人の佐久間順平が、「あの曲はAでやってたんだなぁ」と言いながら、さらっとコピーして弾いて見せた。「そうだねえ」と笑いながら平然と聴いている振りをしたのだが、実はこれにも心底から驚いた。彼もライヴに来ていたのだった。そして同じことに気付いていた。


 なにしろジャグ・バンドはアコ楽器を使って、ジャズを演るというのが趣旨。つまりストリング・バンドによるジャズ。そのカジュアルさがいい。


 楽しいジャズ。可愛いマリア・マルダー。フラワーなジャケ。ゆる〜いまとまり。でもひとつのバンド。楽しいアルバム。
 全部好き。


 よく考えてみたら、初めて聴いてからもう35年も経っているのだった。(大江田信)


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