Dino Valente / Dino

Hi-Fi-Record2006-06-16

ちょっと昔のお話。
NRBQが好きになったので、彼らのレコードをあちこちで探し始めていた頃のこと。


家の近所に、面白い品揃えの中古レコード屋さんが出来たというので、早速出かけた。
なるほど、確かにちょっとクセモノな品々。
何を買ってたかは覚えてないけれど……。


あるとき、インクレディブル・カジュアルズのアルバムをしげしげと見ていたら、
お店の人に話しかけられた。
「変わったレコード見てますね」
「いや、これ確かNRBQのメンバーの弟さんが入ってるバンドなんですよ」
NRBQ好きなんですか?」
「はい。今いろいろ集めてるところなんです」
「じゃあ、これがありますよ!」


とっておきの食材を冷蔵庫から取り出すシェフの動きで、
その人はあるレコードをターンテーブルに乗せてかけ始めた。


あれ? 全然ロッキンじゃない。
場違いなほどドラマチックでアシッドなサウンドに、シーンと静かになる。


シェフは得意満面な笑顔で言った。
「これ、ディノ・ヴァレンテ。NRBQでしょ?」
「え…? そうでしたっけ? このひと、関係してたことあるんですか?」
「そうだよ! ほら、だって、NRBQって、あれでしょ? ニュー・ライダーズ・オブ・パープル・セイ…、あれ? N…R…O…P…? 何か違うねえ! おかしいねえ! ハハハハハハハ…」


ぼくはこのひとのことがいっぺんに好きになった。


ディノ・ヴァレンテさん、すいません。
このレコードを見ると、どうしてもそのときのやりとりを苦笑しながら思い出してしまうんです。
名盤に謝罪!


では買付日記です。

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○月○日 4日目 晴れ


昨日、大江田さんの寝起きをいたずらしておきながら、
今日は自分に二度寝の苦しみが来た。
何とか起きるが、頭がぼおーっとして気合い不足。


今日は南に300キロほど下る。
目的地には瀟洒なカレッジ・タウンがある。
しかし、そこまで待てず、マクドナルドで昼食。
アメリカではマクドナルドは「マック」でも「マクド」でもなく「マク・ダーノー」。
「ダー」に力を思いっきりこめれば、OK。


夕方まで買付を続行。今回のペース、出だしとしてはなかなかいい。
その町からモーテルまではさらに50キロほど。
車はガソリンを補給。人間ふたりはアイスクリームを補給した。
ナイス糖分補給。


つづく。(松永)


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