Pianosaurus / Groovy Neighborhood

Hi-Fi-Record2006-07-19

ちょっと前のメルマガで、大江田さんの代打で冒頭の文章を書いたとき、
石垣島で中古レコード屋さんに行ったことに触れた。


インターネットの時代になって日本も世界も狭くなったけど、
やはり知らない土地に出かけていって、知らない店に入り、
知らないひとと話をしたりしなかったり、
そうやって買ったレコードのことはよく覚えている。


高校生の夏休み、福岡で買ったのはフランク・ザッパの「フリーク・アウト」だった。
あとで思い返してみたら、あれは安い海賊版の再発だった。
神戸ではスクールバンドのファーストを、
札幌ではサウス・トゥ・サウスのシングル盤を、
水戸ではチリ・ウィリ&レッド・ホット・ペッパーズを、
初めて行ったニューヨークではニッキー・ホプキンスの「夢見る人」を、
ハワイではボブ・ディランの「ナッシュヴィルスカイライン」を……。


しかし、実を言えば実家が九州熊本であるぼくにとって、
最大の「見知らぬ土地」は東京そのものだった。


新宿で初めて買ったのは? うーん忘れた。
渋谷で初めて買ったのは? たぶん、ナッズ?
吉祥寺で初めて買ったのは? 高円寺で初めて買ったのは?


残念ながらよく覚えていないものが多い。
だいいち、もうあんまり手元に残っていない。
「見知らぬ土地」のありがたさも、19年も住んでいると薄れてしまったのかもしれない。


それでなくても、18歳のときに好きだったものをずっと好きでい続けるのは大変だ。
でも、不思議なことにどこかで必ず少年時代の自分が許せるときがくる。それも真実だ。


池袋で初めて買ったのはたぶん、これ。
ピアノザウルス。CDだった。
今、裏ジャケを見たら「1987年」と書いてある。
ぼくが東京に来た年である。
こういうレコードは、他のものより甘酸っぱさが2割ほど増している気がする。(松永)


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