The Mike Settle Shinding / The Mike Settle Shinding

Hi-Fi-Record2006-07-30

 ハイファイ大江田・松永チームによる新たなCDリイシュー企画、「ビター・スウィート・アメリカ」シリーズがスタートした。
 なかなかアナログでは手に入りにくくなってきたローカルな逸品を掘り起こしてCD化し、それを多くの人に聞いてもらおうというのが、企画の一つの主旨。ここしばらく毎月のリリースが続くが、まずはジェフ・ハリントンのアルバム2作から。


http://www.vividsound.co.jp/dtl.php?dtlid=RATCD4351

http://www.vividsound.co.jp/dtl.php?dtlid=RATCD4352



 今後のラインナップに向けてレコードのセレクションを進め、ご本人を捜し出してCD化の契約をすませ、そしてプロフィールをもらい、改めてアルバムを聴き直してはライナーを書くという作業を続けている。
 もちろんこれからのリリースにもご注目を頂きたいのだが、それにしても感じることは、CD化される作品というのはあくまでも氷山の一角なのだということだ。
 そして考えを巡らすうちに、なるほど氷山の一角というのは言い得ている表現なのかもしれないと改めて思ってしまう。あの水上に出いている何十倍もの大きさの氷が水面下に沈んでいる。氷上の一部分を見ているだけでは、氷山のすべてはわからない。


 アメリカのレコード屋やコレクターの家を廻って実際に手にとって試聴する機会でもなければ、Mike Settleのこの作品の素晴らしさに気付くこともなかっただろう。こうした作品がリリースされていたことをカタログでは知っていても、かつては日本にいてはなかなか入手が容易ではなかった。それにもっと問題なことだが、アーチストのキャリアの一部を知って、そこから彼の他作品を想像上で思い描いては判断を加えてしまい、聞かずに済ませるということだってあった。今では、すべてはレコードに針を落としてみなければわからないという確信に近い思いがある。予断は禁物なのだ、ことレコードの場合は。



 そういう確信を与えてくれたのが、例えばMike Settleのこのアルバムだ。レコード針がA面の2曲目に達し、軽いシャッフルのリズムを伴いながら「Someone To Talk My Troubles To」が流れてきたときに、思いっきり幸せな気持ちになった。探している音楽がここにあった、思わずそんな気持ちになったのだった。
 SSWという氷山には、こんなに素敵なアルバムがひっそりと埋もれている。(大江田)


http://www.hi-fi.gr.jp