Kazuko Shiraishi / Dedicated To The Late John Coltrane

Hi-Fi-Record2006-09-10

 昨日ハイファイにお越しの松永さんのご友人に、映画「幻の湖」(82')を薦めてしまいました…うっかり八兵衛(最近夕方に見た水戸黄門の再放送で、黄門様のお供に中国語(韓国語?)を話す娘がいてビックリ)。


 監督は、あの「八甲田山」の橋本忍。しかるに超大御所の作品。しかも音楽は芥川龍之介の三男、巨匠・芥川也寸志。新人の主演女優を支えるは室田日出男北大路欣也、かたせ梨乃、大滝秀治下條アトムと豪華。東宝、さすがに金がかかってます。


 「何を追って、何を求めて、人間は走り続けるのか」(DVD裏より抜粋)


 こんな薄っぺらい生真面目なサブタイトルを尻目に、橋本忍作品の真骨頂である「喘ぎ」というテーマが"ひとり歩き"ならぬ"大暴走"、フルマラソン。完遂です。大御所だから、そのやらかし度合いはスゴイもの。主人公の設定は「犬(シロー)を飼う、ジョギング好きのトルコ嬢」。舞台は琵琶湖。


 なにより観てるこちらが面白すぎて身悶え、喘ぐ。特にラスト・シーンでの"自由への疾走"(笑)にはシビれました。


「シロー! 走らせてェ〜!」 いやはや、久々に腹がよじれるあの感覚。


 そうして見終わった際に感じるのは、ランボーの詞、あるいはジョルジュ・バタイユ「空の青」のような心地良い虚無感……ぁあれれ? ホントですか!? ご興味のある方…いや、トップ・ランナー(NHK)目指す方は是非ご覧下さい。面白さを充分に伝えるには、自分はまだまだ言葉足らずです。


 ビートニク、ジャズに傾倒した現代詩の女流詩人・白石かずこが、米ロフト・ジャズ・シーンのアナーキーなサキソフォニスト、サム・リヴァースと制作した当アルバムもまさに「喘ぎ」系の逸品。


 「ジョン・"ワンダリン"・コルトレーン…迷えるコルトレーン…あなたは何処にゆかれたの…ピョロリ〜!(サックス)」


 こういったワンダフルな著作は、いつもどこかしらタガがはずれてますよね。受けとめるこちらも、ひとっ走りして思想的な体力をつけとかないと。


 で、基本である足腰を鍛えるには"アンダー" グラウンドにて走りこむべし! なんちゃてw。


 シロー! 走らせてェ〜!(藤瀬)


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