Jim Carroll ジム・キャロル / Jim Carroll
この世に似た顔ふたつはあり、と言う。
同姓同名となると、これまた少なからず。
ネット社会の弊害とも思うけど、
自分の名前をgoogleで打ち込むと、
同姓同名の方々も同時に何人か浮かび上がる。
ちなみにぼくの名前では、
ペンション経営者と、俳句名人の少年(?)が浮上する。
後者の彼には、宿題忘れないで頑張るぞ、とか何とかいう身につまされる名句があるのだ。
ミュージシャンの同姓同名の、無名な方を次々に復刻して
世間を楽しませてくれているのが大阪のエム・レコード。
それぞれ有名な方を記す。
クリス・ホワイト → ゾンビーズのベーシスト
エディ・ヘイゼル → Pーファンクのギタリスト
サム・ムーア → ソウル・デュオ、サム&デイヴの片方
時代も環境もまったく異なる同姓同名は、
単なる偶然の一致と片付けてしまえばそれまでだが、
重なりそうもないそれぞれの個性が
「あ! 同姓同名」と思ったその瞬間だけ交差する、
その一瞬の面白さがある。
ちなみに、ペンション経営者の方は、
”角煮まんじゅう”を販売しているそうだ。
そのとき、一瞬だけ自分が角煮まんじゅうを自分が売っている姿が脳裏をよぎる。
それ、食ってみたい。
さてジム・キャロル。
「マンハッタン少年日記」(晶文社)を書いたジム・キャロルは
先に作家としてセンセーショナルにデビューしたが、
のちにミュージシャンになったときのアルバムはパンク的で、
あんまり面白く思えなかった印象がある。
どっちかと言うと、
この目を閉じて横たわっている同姓同名のジム・キャロルのアルバムの方が
作家という肩書きが似合う気もするのだが……。(松永)