Johnny Russo with Doug Robinson ジョニー・ラッソ&ダグ・ロビンソ
ジョニー・ラッソから手紙が届いた。
封を切ってみると、そこには新聞が入っていた。
Ithaca Timesと題字にある。彼が暮らしてるニューヨーク州イサカの街で発行されているローカルの新聞だ。
その表紙をジョニーが飾っていた。
ジョニーはトロンボーンを左手に通し、そして両手でトランペットかかえて吹いている。トロンボーンとトランペットの両方を演奏する彼のお得意のポーズだ。新聞は3ページを使って彼の音楽を讃え、新作アルバム「Bluebird From The Sky」を紹介していた。
土曜の夜にパーティで演奏する、そして日曜の昼にはいつものレストランでピアノの弾き語りをしているから遊びに来いと、ジョニーから熱心に誘われ、一度、買付の途中に立ち寄ったことがある。
ギターのダグ・ロビンソンほか心の通い合っているミュージシャン達と、自身の作品やジャズのスタンダードをパーティ会場で演奏した土曜の夜。そして日曜には、弾き語りのピアノとボーカル。ピアノのすぐ横の席に僕らを招くと、彼は一曲ごとにちょっとづつ解説を加えるなどして、僕らに声をかけながら演奏した。
どちらも楽しかったのだが、忘れられないのはこんな光景があった日曜日だ。
レストランのお客さん達は、誰もがジョニーを知っている。ピアノの横を通るたびに誰彼となくジョニー!と、声をかけていく。ジョニーも気さくに応じている。
その日の客席には、誕生日を迎える女性と、その友人がお祝いも兼ねて食事に来ていた。
それを知ったジョニーはハッピィ・バースディを軽くジャズっぽく演奏し歌った。客席からも歌声が起きた。なごやかな空気が一杯になった。
彼はこの20年ほどの間は、イサカで暮らしている。NYのカーネギーホールに演奏に行くこともあるけれども、それは時々のことで、おおむねイサカの街の周辺で演奏活動をしている。
ジョニーは街の人たちに愛されている。彼もイサカの街を愛している。
彼のことを紹介する時には、イサカを拠点に活動してるローカルなアーチスト、となるのだろう。
それが彼の音楽を卑しめていることになど全くならない、と僕は思う。
すばらしい音楽のあり方のひとつだと思う。彼の音楽は一流だ。
そういえば「Bluebird From The Sky」は、ハイファイでは売り切れてしまった。
ジョニーに今一度、送ってもらうように頼まなければ。ハイファイのオーダーを喜んでくれるかな。
ということで、「今日の話は昨日の続き 今日の続きはまた明日」。
このフレーズを御記憶の方は、まったくぼくの同世代ですね。あのラジオ関東の夜の番組のお決まりの挨拶。(大江田)