佐久間順平 / 最初の花

Hi-Fi-Record2006-09-23

 最近になって、 佐久間順平のライヴ演奏を聴く機会が増えた。彼はギターやヴァイオリン、マンドリンなど、アコースティックの弦楽器を演奏するミュージシャンで、古くは高田渡、最近では南こうせつや李政美、佐藤博などのサポートとして活躍している。自身のうたを歌う機会もある。映画音楽を手がけたり、テレビやラジオ番組のテーマ音楽を書いたりもしているので、どこかで彼の音楽を耳にしている方もおられるかも知れない。


 実は、最近になって彼と一緒に演奏する機会があった。そしてふと気づいたことがある。
 彼の仕事はサポート・ミュージシャンと呼ばれている。しかしそう呼ばれる以上の仕事を、彼はしている。歌い手の最も近い場所にいて、歌い手の音楽を肯定する。最も暖かい理解者であり、抜き差しならぬ共感者だ。歌い手の作品を愛し、それを一緒に表現する手助けをする。彼は、無意識にそのようにあろうとしている。
 ということが、一緒に演奏していてよくわかった。
 歌いながら、ボクは彼に許されていると感じた。


 この感想を、周囲のミュージシャンや、彼のことを永く見続けてきた友人に問うてみた。
 なるほど、そうかもしれないという答えをもらったので、多分おそらくこれはボクだけの想いではないのだろう。


 音楽を続ける友人を、近くで見続ける。嬉しく楽しい時間だ。音楽と人生とが重なって、こちらに届いてくる。(大江田)


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