Warren Barker / TV Guide Television Themes

Hi-Fi-Record2006-10-03

アメリカと日本のテレビ社会を取り巻く環境で
異なる文化を感じる場面は多々ある。
チャンネル数とか、
一本の番組が終わったら、すぐに次の番組に移る(CMや5分番組は挟まない)とか。


でも、一番の違いと感じるのは
テレビ雑誌のこと。


おそらくアメリカ全土で、テレビ番組表を刷り込んだテレビ雑誌は、
「TV GUIDE」しか存在しない。
もし他にあるのだとしても、圧倒的な寡占状態である。独走である。


その誌面を開くと、もっとびっくりする。
本の雑誌、新聞につきものの、
朝から晩までの番組表が存在しないのだ。


あるのは主要数十局のプライムタイム(19〜22時台)番組表のみ。
それも、そっけなくタイトルだけが
出来損ないのエクセルの表組みみたいに並んでるだけだ。
日本みたいにタイトル、サブタイトル、キャッチコピーの嵐が入り込む余地がない。


プライムタイム以外はどうなっているのかというと、
これがただの箇条書きが並ぶだけ。
しかも、抜き書きである。
この時間帯に何を放送しているかわからない局がたくさんある。
そして、そのまま放っておかれている。


あとは簡単なグラビアと、2、3個の注目記事があって、
広告を挟み込むとその週の「TV GUIDE」が出来上がる。


テレビ雑誌に、ある程度以上のものを求めていないということもあるだろう。
もともと望むものがないから不満もない。
日本のテレビ雑誌みたいににぎやかではないけど、理にかなっている。
たぶん、アメリカのテレビ文化に、かつてあったはずの品の良い幸福感の残り香を
ぼくは「TV GUIDE」から嗅いでいるのだ。


ワーナー・ブラザースは映画会社が作ったレコード会社だが、
テレビの浸透と脅威を素直に受け止めて、こういうアルバムを作っている。


なんのかんの言っても、アメリカはまだ映画産業も死んでいない。
無意味な大作も相変わらず多いけど。
ジャック・ブラックの新作が見たいな……。(松永)


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