Dr. Hook ドクター・フック / Sometimes You Win

Hi-Fi-Record2006-10-04

 このアルバムに収録の「Sexy Eyes」が好きで。なんというか、この屈託の無さがいい。もちろん軽〜くファンキーなリズムもいいし、チョイ悪オヤジふうの声で「Sexy Eyes」とリフレインする感じもいい。70年代末から80年代初頭期のロック、それも通称AORと呼ばれるタイプの音楽が好きなファンには、たまらない感じがある。
 車の中に突っ込んであったドライヴ用カセット・テープのどこかに選曲していたので、かつて僕の車に同乗した人は、間違いなく何回か聴かされていたはずだ。


 音楽を聴きながら、どうしてこうなるのだろうと考えてしまう事が多い僕なのだが、このアルバムについては、そういえばあんまり考えたことがなかった。
 ドクター・フック。デビューしたての頃は、ドクター・フックとメディスン・ショウと名乗り、目には海賊がつけるような黒い眼帯をしていて、いかにも悪そうな雰囲気を醸し出していたのに、この頃になるとにこやかに笑っている写真を使わせている。


 このアルバムのウンチク的ポイントは、アラバマ州シェフィールドのマッスルショールズ・サウンド・スタジオで録音されていることだ。マッスルショールズは、南部の音楽スタジオのひとつなのだが、その名前からは60年代サザンソウルを思い出す方も多いに違いない。黒人音楽のメッカだったスタジオだ。
 そのあたりがこのアルバムのおもしろいところで、南部固有のサウンドを洗練させていくと、実のところAORの先端都市、ロサンジェルスの音楽と近似値になる。それを期せずして証している。



 ロバート・バーンとか、ロブ・ガルブレイスとか、デニス・ヨストなど、AORファンが探している南部制作アルバムがいくつかある。それらもドクター・フックのアルバムの時代との関わり合い方と、同様のファクターを内包している。
 そのあたりのことは、また別の機会に。


 それにしてもイイなあ、「Sexy Eyes」。とってもオプティミストな気分になる曲だ。(大江田)



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