Michael Monre マイケル・モンロー / Simple Life
マイケル・モンローから手紙が届いた。封を切ると、それはハイファイ宛の私信だった。
近況を記す内容のメモとDVD、そして1枚のCDRが封入されていた。
CDRに収録してあるのは、とある知人の結婚式で流すために録音した音源だという。
たぶん好きだと思うから送ったよと書いてあり、聴いてみるとまったくその通りだった。
彼のギターによる新作インストルメンタルと歌唱作品にはさまれる格好で、カバーが3曲はいっていた。
ジョニ・ミッチェルのサークル・ゲーム、ボブ・ディランのフォーエバー・ヤング、そしてポール・ストーキーのウェディング・ソングだった。
そのどれもが、素晴らしくいい。ギター一本の弾き語りなのだが、ほかに何がいるだろうと思うほどの充実で、胸の奥底が歌につかまれてしまって、しばらく言葉を失った。
ポール・ストーキーは、マイケルの人生に音楽のチャンスを与えた最初の人物だ。ピーター、ポール&マリーの、ポールである。
そのポールが書いた「Wedding Song」をこうした機会にマイケルが歌っていることが、とてもうれしい。
マイケル・モンローと、ハイファイとの出会いについては、このほどリリースされたビタースウィート・シリーズの1枚、アルバム「サマー・レイン」のライナーに書いた。
彼とハイファイは、思い出したようにではあるけれども、手紙やメールのやりとりを続けている。
そうした友情が、このほどの日本オリジナル選曲のアルバムに結実した。そうしたこともあって、彼の音楽に対しては、ことのほか思いが深い。
最新作「Simple Life」もハイファイで扱って来た。
北の国、ミネソタの山中の一軒家。自宅スタジオで丁寧に録音されたアコースティック・ギターの響きと、紡ぎ出されたメロディの数々。その音楽が、彼の人生そのものの比喩になっている。そして彼の人生もまた、彼の音楽の比喩になっている。彼の音楽と人生とは、そうした関係にあることが察せられるアルバムでもある。
このほど私信として届いた彼のプライベートな録音集。その肌触りも全くといっていいほどに、「Simple Life」と同質だった。
「Simple Life」は、ありがたいことに少し前に売り切れてしまった。
CDRのお礼の便りを書こう。その際に、また彼に頼んで「Simple Life」を送ってもらうことにしよう。(大江田)