Carmen Miranda カルメン・ミランダ / South American Way

Hi-Fi-Record2006-10-18

 東京シャイネスのDVDを見た。
 東京シャイネスは細野晴臣さんのハイドパーク・ミュージック・フェスティバルでの出演を機に誕生したグループで、昨年末から今年の4月にかけて3回のコンサートを行った。その模様を収めた映像作品だ。


 ギターを爪弾きながら飄々と歌う細野さんを大好きな僕には、たまらない映像だった。歌つくりと歌うたいとしての細野さんの姿をこれほど多くの人が見るというのは、おそらく初めての出来事なのではあるまいか。かつて、といってももう30年近くも前のことになるはずだが、池袋のシアター・グリーンで見た弾き語りの姿が焼き付いていて、僕の記憶から消えることがない。ふとあの頃の気持ちが甦ってくるような気分を味わった。


 映像の"文体"が良かった。レコードコレクターズ誌の11月号でも書いたのだが、ドキュメントと呼ばれる方法にありがな暴きたてる近ずくが無い。そして同時に"撮影させていただく"とでもいった、必要以上の低姿勢も無い。あるのはそこに流れている音楽の時間を一緒に呼吸し、どきどきし、喜び、楽しんでいる感覚である。東京シャイネスの音楽と、映像が共生している。
 そういうカタチでカメラが持ち込まれている。制作スタッフの細野さんの音楽への愛情がなせる技なのだろう。


 東京シャイネスでは、「チャタヌガ・チュー・チュー」も演奏されていた。
 細野さんの「チャタヌガ・チュー・チュー」の下敷きになっているのは、このカルメンミランダの演奏だ。アメリカのジャズが、ブラジル出身の歌手の身体を通って翻案される。すると見事なまでにジャズなサンバとなったチャタヌガ行きの汽車が走るのである。


 ラテンが好きな細野さんの面目躍如の着眼だ。
 そして細野版の歌詞の面白さ。とある場所でかけたことがあるのだが、誰も日本語と気付かなかった。あれ、実は相当な日本語である。(大江田)


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