Paul Williams / Here Comes Inspiration

Hi-Fi-Record2006-10-24

ポール・ウィリアムスのシンガーソングライターとしての最高傑作は
リプリーズで作った「サムデイ・マン」ということになっている。
あるいは、今なら彼がロジャー・ニコルスと作った
アルドン・ミュージックのためのソングブック・アルバムも
CDで簡単に手に入るから、そっちの方がいいというひともいるだろう。


ぼくにとってポール・ウィリアムスの第一印象とは
ブライアン・デ・パルマの「ファントム・オブ・パラダイス」に彼が出ていたときの役柄
謎の作曲家スワン(フィル・スペクターをダブらせたキャラクター)そのひとである。
もっとも現実のポール・ウィリアムスは
作曲家というよりむしろ作詞家なのだが……。


そして、一番好きなアルバムは
その「ファントム・オブ・パラダイス」と同じ年にリリースされた
「ヒア・カムズ・インスピレーション」。


A面の一曲目のタイトルは
「ニルソン・シングス・ニューマン」という。


「ニルソン・シングス・ニューマン」は、
人気絶頂期のニルソンのアルバムの中で
トップ200にすら届かなかった不遇の名盤だ。


そのアルバムの不遇を愛する心と敬意を
わずか53秒に込めた。
ときどきポップスは、それだけの長さで完璧に成り立つ。


彼が歌う苦々しい「雨の日と月曜日は」もこのアルバムに入っている。
あ、昨日選んでおけばよかったな。
まさしく”雨の日の月曜日”だったのに。(松永)


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