Buzzy Linhart バジー・リンハート / Pussycats Can Go Far
世に猫ジャケと言われるものは数あれど、
「自分が猫になりました」というものはあまり見たことがない。
バジー・リンハートは、そういう愛嬌が許される人物だったのだろう。
ジョン・セバスチャンの「マジカル・コネクション」で
ヴィブラフォンを叩いているのが手練れのスタジオミュージシャンではなく
音楽仲間の彼であったという事実にも
何だかホッとさせるものがある。
東海岸の一流ジャズマンを起用してもよかっったはずなのにね。
だが、特別な説明など無くても、あのトロンとした音は、
友情というつながりを感じさせる音になっていると思う。
彼はニューヨークに住む若手のロック・ミュージシャンにとっての
一種の万能ミュージシャンだったのだろうが、
そんなたいそうな冠よりも
頼まれたら断れない気さくな便利屋という感じがよく似合う。
ふにゃっとした歌声もそんな感じである。
ベット・ミドラーが大ヒットさせた名曲「フレンズ」は
彼と親友マーク・”ムーギー”・クリングマンの共作。
このアルバムでも彼自身の声で歌っている。
よほど気に入っているのか、
これ以前のカーマ・スートラ盤にもこの曲を吹き込んでいるが、
両ヴァージョンに、大して違いがないのがまたおかしくて愛おしい。
それにしても、代表曲のタイトルからして、
彼の人柄そのものを現しているかのよう。
このアルバムではタイトル曲で
「マジカル・コネクション」ばりのヴィブラフォンも聴くことができる。
もひとつ。
猫に扮したイラストで、彼は髪の毛も実際より増量してます。
ま、そこんとこも許される人柄だったということで!(松永)