Johnny Russo And Doug Robinson / Bluebird From The Sky

Hi-Fi-Record2006-10-30

 ジョークを連発するユニークな療法で人々の心と体を癒す実在の精神科医の若き日を描いた映画「パッチ・アダムス」の中で、主演のロビン・ウィリアムスが死を意識している患者と共に、アーヴィン・バーリン作によるスタンダード「Blu Skies」をうたうシーンがある。


 「僕に微笑みかける青い空 青い空だけが見える 青い鳥が歌っている 青い空だけが見える」という歌詞を、当初はこんなバカみたいな歌をうたえるものかと、患者がいやがる。
 パッチ・アダムス流の医療が浸透するうちに、彼は理解を示すようになる。そしてその死を看取りつつ、共につぶやくようにそっと歌う。


 安らぎ、未来、希望が歌われる歌。陳腐だと思うこともあるだろうし、全くリアリティを感じないとか、バカバカしいとすら感じることもあるかも知れない。


 そういう歌を、ジョニー・ラッソも歌っている。アルバム「Blue Bird From The Sky」のタイトル曲。
 「空の青い鳥 僕に歌ってくれてるの? やさしく自由に 幸せに」と始まり、軽い4ビートに口笛を響かせ、青い鳥に語りかけながら、自らの思いを連ねていく。
 ジョニー・ラッソが歌うと、やさしく胸に響く。バカバカしい歌なんかじゃない。あたたかい歌だ。不思議と言えば不思議かもしれないけれど、彼はそう言う人なのだろう。
 ぼくの中では、パッチ・アダムスでの映画「パッチ・アダムス」のロビン・ウィリアムスの姿と重なってくる時がある。


 歌う人が歌うと、歌には夢が宿る。
 ジョニー・ラッソから、そんなことを教わった気がする。


 数日前にジョニーから送られてきた新作。これが再入荷だ。
 軽やかでさわやかなアルバムだ。(大江田信)


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