Carole King キャロル・キング / Wrap Around Joy

Hi-Fi-Record2006-11-17

キャロル・キングの曲の中で
「ジャズマン」はかなり好きな部類に入る。


“ジャズ”という言葉が自分にとってまだはるか遠いものだった頃の
気持ちを思い出させてくれる。
今だって、そんなに近くはないけれど。


大学に入った年に
自分もそろそろジャズを聴くべと思い
マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」や
エリック・ドルフィーの「ファイヴ・スポット」を買った。


背伸びをしてみたわけだが、
どうも体にすっと入ってはこなかった。


栄養価の高いサプリメントであるには違いないが、
腹にいまひとつ貯まらない、という感じ。


そんな頃でも、キャロル・キングの「ジャズマン」は好きだったのだから
いい加減なもの。


もっと振り返ると、サザンオールスターズの初期のシングルに
「ジャズマン」という、あまり語られない曲があって、
その曲にもぼくは思い入れがある。


憧れは確かにあるんだけど、かたちにするにはまだ未熟。
天才・桑田圭祐をもってしても、ちょっと収拾がつかなかった一曲。
当然、あまり売れなかった。


でも、ひょっとしてそんな感じも含めて、
“ジャズ”への思いと、遠くてつかまえられない感じを
出したかったのかもしれない。


キャロル・キングやサザンが憧れて表現したジャズへの距離感は
たぶん、本物のジャズを目の前で聴くよりも
ぼくの考えるジャズに近い。(松永良平


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