Andy Williams アンディ・ウィリアムス / Merry Christmas

Hi-Fi-Record2006-12-08

ぼくは、アンディ・ウィリアムス
お茶の間の人気者だった時代を知らない。
「味の素」のCMを日本語で歌っていた時代を知らない。
アンディ・ウィリアムス・ショー」を
日本中が憧れをもって眺めていた時代を知らない。
クローディヌ・ロンジェと結婚していた時代を知らない。
「恋はリズムに乗せて」はボブ・クリューのヴァージョンしか知らなくて
アンディ・ウィリアムスが歌うのを聴いたのは、ずいぶんあとのこと。


最近、アンディ・ウィリアムスの持つ
まろやかさというか、暖かみが好きだ。
何をやってもアンディ・ウィリアムスがにじみ出る。
それは努力のたまものというよりは、このひとの天性ゆえ。
ひとことで言うと”スター”ということだ。


このひとは何故こういう声で、こういうことを歌うのだろうか?
なんて難しいことは考えずに済む。
それがスターの特権であり、ポップスの究極だと思う。


スターを主役に作られるアルバムには、
スターに求められる約束事を忠実に守る部分だけでなく、
実は”スター”を使って何かやってやろうという
スタッフたちの意気込みが表れている。
舞台裏は必死のドタバタ。
そのカーテンの向こうでは主役がスポットライトを浴びている。
スターの時代とは、その両方が幸福に祝福されている時代のことだ。


アンディ・ウィリアムスを初めて「イイ」と思ったのは、
この緑色のクリスマス・アルバムだった。
オリジナル・リリースは1965年。


あるとき、アメリカの友人から送られてきたCD-Rの
いきなり一曲目に、このアルバムの「Sleigh Ride」が入っていた。


やわらかくて、そのくせ颯爽としている。
白銀の世界をマシュマロに変えるのは、
きっとアンディ・ウィリアムスみたいな声だろうと思わされる。
たとえそれがひとときの錯覚でもいい。
ポップスって、そういうもんだからさ!


アンディ・ウィリアムスの味の素CMコレクションは
今月、めでたく初CD化されるそうです。楽しみ。(松永良平


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