The Boston Pops Orchestra / Leroy Anderson Favorites

Hi-Fi-Record2006-12-18

 このところ何回か日米を往復している松坂大輔が、アメリカに向けて出発するとある日に、成田空港に偶然に居合わせたことがある。記者会見に用いられる会場近くにはカメラマンや記者が集まってきていて、僕らはどうもこれは松坂の渡米前の会見のための人混みではないかという推測をした。もしかしたら同じ便かも?、同行取材の記者は乗るんだろうか?などど、思わず想像をたくましくしていた。
 しばらくして、いつも搭乗前に文庫本の数冊を買い込む書店で本を選んでレジに向かうと、店員の女性が興奮気味の様子。男性店長が、横から「彼女は松坂を見たんですよ」と言う。なんだかその雰囲気につられて、どうでした?と聞いてみると、「すっごいオーラがあって。ファンになっちゃいました」と高いテンションの声で言いながら、「今日一日、楽しく過ごせそうだわ」と独り言のように付け加えていた。



 今日の午後、松坂がボストンから帰ってきた。成田で記者会見を受けた際にボストンの街の印象を聞かれ、すごく雰囲気のいい街、好きになりそうなだと笑顔で答えていた。



 ボストンの名前が用いられているアーチストと言えば、ハイファイではロック・バンドのボストンではなくて、ボストン・ポップス・オーケストラだ。
 ボストン・シンフォニーに併設されるカタチで1885年に始まり、アーサー・フィードラーが1930年から1980年まで常任指揮者を務めた。ジャズやミュージカル・ナンバー、映画音楽、フォーク、カントリーなど、幅広いレパートリーを、ヒューマニティあふれる小宇宙に仕立て上げるフィードラーの指揮棒には、代え難い魅力がある。



 お互いの名を高め合った演奏家ボストン・ポップスと、作曲家ルロイ・アンダースン。ルロイ・アンダースンの作品は、ボストン・ポップスの演奏で聞くのがいいに決まってる。
 冬のこの時期には、「そりすべり」がいい。一面の雪がもたらす訳もなくワクワクとするあの感じ、口元からわき出る白い息、耳をかじかませる冷たい夜気。この演奏を聴くと、一瞬にしてそんなことがらが蘇ってくる。(大江田信)


Hi-Fi Record Store