The New Christy Minstrels / On Tour Through Motortown

Hi-Fi-Record2006-12-27

 男女混声の大編成フォーク・コーラス・グループが、モータウン・ナンバーを歌うアルバム。
 と、こう聞いてもピンとこないでしょ? ましてや聴いてみたいとは思わないかも、ね。



 その昔の僕は、そうでした。
 ところが、ほんのちょっとした所から、機会が芽生えてきたのでした。
 コロムビア音源の(確か60sヒットをコンパイルした)編集企画盤に、「太陽の当たる場所」(「Place In The Sun」)が収録されていて、この曲が好きな僕は、ふ〜ん、なるほどなあと思って耳を傾けたのでした。
 この曲のサビの4度進行は、たまりません。ああ、こうなる、そうそう、こうなる、と先が読めるのだけれども、だからこそ、見事にはまっちゃうわけです。気持ちが良い。
 アーチストは、ニュー・クリスティ・ミンストレルスでした。「グリーン・グリーン」の彼らがこんな曲を採り上げているのかあと思ったのですね。とても印象に残ったのです。



 コーラス・ファンは、カルテットが好き。大編成になると、和声がシンプルになってしまうせいか、どうしても触手が動かないもの、と思われています。
 それが、このところ大編成コーラスを聴いているうちに、いいじゃん!と思うようになってきたのですね。きっかけは、ドイツのボーソ・ルーカス・クワイアあたりから。するとギュンター・カールマンもおもしろいし、リヴィング・ヴォイシズもレイ・チャールス・シンガーズもいいし、ノーマン・ルボフ・クアイアやジョニー・マン・シンガーズも捨てたもんじゃないと思うようになりました。



 で、もういちど真剣にニュー・クリスティ・ミンストレルスを聴きました。
 すると、こんどは実に気持ちが良いのです。生理的にスッキリとした気持ちよさを覚えるのです。拡がりのもたらす開放感がキモかな。サウンドのポイントは、エコー感かなと思います。




 「太陽の当たる場所」は、このアルバムに収録されていました。
 アルバムを頭から聴いてみると、もっともっと面白いトラックが有ることに気付きました。企画という名のベクトルがスッキリと通っているアルバムでもあります。
 どうも発売当時は不評を買った作品のようです。どちらからもブーイングが起こったのかな。あまり売れなかったみたいですね。そういえば、アメリカでも見かけないかも。



 中途半端な知識を知ったかぶりして、聴かずに済ますにはもったいないアルバムに、また出会ってしまったのでした。反省、反省。(大江田 信)


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