Ringo Starr リンゴ・スター / Sentimental Journey

Hi-Fi-Record2006-12-30

今、12月30日午後6時前。
2006年のハイファイ・レコード・ストアの営業も
あと十数分で終わる。


まずは御礼。
本年もご愛顧いただき、ありがとうございました。
そして来年もよろしくお願いいたします。


06年は買付で全米19州をまわり、数千枚のレコードを買付ました。
来年はどこへ行こうかな、と。


で、本年最後の「Voices In Hi-Fi」。
一年の締めにふさわしいレコードはどれだろう?
と考えること数十秒。
気が付くと、指にこのレコードがくっついていた。


リンゴ・スターのソロ・デビュー・アルバム
センチメンタル・ジャーニー」。


才能ではなく人柄のアルバムだとか、
ポピュラーソングを歌っているのでロックじゃないとか、
くちさがないことを言うひとに言いたい。


「メッ!」


このアルバムに入っている「ナイト・アンド・デイ」を
現時点で世界に存在するどの「ナイト・アンド・デイ」よりもぼくは愛する。
「ちょっとおだてりゃその気になりやがって」という言葉は喧嘩の売り言葉だが、
リンゴに関して言えば、それをひっくり返して褒め言葉にしてあげたい。
ちょっとおだてられて、その気になって良かったね。


それとこのアルバムの重要なポイントは、
一曲ごとにアレンジのワザを皆が競い合っているところ。


ポール・マッカートニーやモーリス・ギブ、クラウス・ヴアマンはロック友達。
ジョージ・マーティンロン・グッドウィン、レス・リード、
ジョン・ダンクワースらイギリス勢、
リチャード・ペリー、クインシー・ジョーンズ、オリヴァー・ネルソン、
エルマー・バーンスタインアメリカ勢。
みんながリンゴを素材に料理をしましたという
ロックとポピュラーの融合としては最上の贅沢が
費やされているのだ。


ここ何年かのハイファイのレコード集めの
過去と現在と未来も
このアルバムにあるような気がして。


とにかく、このアルバムに関して
ぼくは嫌いなところが無い。ゼロ。
この3階建ての家がちょっと左に傾いでいるところも含めて全部好き。


いつか、このアルバムをテーマにしたような小説が書けたら最高だ。
おっと、それ来年の初夢に取っておこ。(松永良平


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