Dizzy Gillespie ディジー・ガレスピー / Jambo Caribe

Hi-Fi-Record2007-01-12

ジャケットを開くなんて、
そんな贅沢な。


1960年代も半ばを迎えるまで、
LPレコードのジャケットは一枚に限るという常識があった。


表はキレイにして、裏は解説。
それだけで事足りる。
あとは音楽が鳴っていればよい。


その常識を変えたのはロックの世界で
ビートルズの「サージェント・ペパーズ」や
ディランの「ブロンド・オン・ブロンド」や
マザーズの「フリーク・アウト」だということになっている。
だが、実際にはダブル・ジャケットというアートフォームは
その少し前から始まっている。


ジャズの世界で、
それを豊かな美意識で追求したのがライムライト(Limelight)というレーベル。


ライムライトのアートワークの面白いのは
見開きの内側を平面と考えず、
両翼30センチの幅を持つ空間の拡がりと考えたこと。


ブックレットを貼り付けるなんて序の口で
飛び出す絵本的な仕掛けも多数行われている。
その始まりは63〜4年頃。
紙の芸術で音にも発想の飛躍を与えるという取り組みでは
ロックの遙か先を行っていた。


ディジー・ガレスピーカリプソに取り組んだこのアルバムも、
当然のように見開きジャケット。


飛び出す仕掛けはないけれど、
かわいらしいイラスト満載のブックレットが付いている。


日本盤でこのLPが出たときは、
そのブックレットは無かった。
だから、オリジナル盤を初めて見たとき、
飛び出す絵本ぐらいうれしかったのを覚えている。


ジャケットを開くなんて。
しかもその中に、素敵な仕掛けがあるなんて。


この先の未来に、
そういう“瓢箪から駒”な感激って、
果たして待ち受けているんだろうか?(松永良平


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