Percy Faith And His Orchestra / Those Were The Days
コーラス入りのパーシー・フェイスは
もうほとんどソフトロックだ。
心からそう思っている。
ただ、“ほとんどソフトロック”という表現を使いながら、
じゃあソフトロックの“ロック”な部分って何なのか?
その“ロック”というジャンルに何を求めているのか?
ということも最近ときどき考える。
バンドならいいとか、
若くて謎の多いアーティストだったらいいとか、
案外そういうところを基準に“ロック”は決められているのかもしれない。
まあ、迷宮に入り込まないうちに
今日のところはその命題から逃げだそう。
もうちょっと長く考えていいテーマだもの。
こないだ、若いお客さんがふらりとやってきて
「●●●●というアーティストはジャンルでいうと何なのか?」
と質問された。
まあ、この手の質問は少なくない。
ジャンルに頼って探したら面白くないよと言いたい反面、
ハイファイだってジャンルを否定したら
何がどこにあるのか店員すらわからなくなってしまう。
ちょっと妄想してみたのは、
一個のジャンルを一軒の家と考えてみるということ。
たとえば「ジャズ」という家のドアをノックする。
そのとき「はーい」と応えて戸口に出てくるのは
お父さんかもしれないし、お母さんかもしれない。
それともおじいさん、長男、孫、留守番のひと?
もしジャンルが一軒の家なら、
戸口に出てきたひとだけで判断したって、
その家族のことなんかわかりゃしない。
せめてちょっと客間に上がって
お茶でも飲んでいかなきゃね。
というわけで、
さしずめ最近は、イージーリスニング家の
パーシー・フェイスさんと茶飲み話に花が咲いてるところ。(松永良平)