Judy Collins ジュディ・コリンズ / Fifth Album

Hi-Fi-Record2007-01-20

 「朝の雨」。カナダ出身のシンガー・ソングライター、ゴードン・ライトフットが書いたフォークの名曲のひとつ。
 生まれた街から離れた土地の飛行場。目前の飛行機が飛び立とうとする姿を前に、手には1ドルの小銭、そして胸の痛みを感じている一人の若者の望郷の思いが歌われている。



 「飛行機で3時間もすれば、故郷を通り過ぎてしまう」と歌い、「ジェット機には貨物列車に飛び乗るようにはいかない」とも歌われる。
 貨物列車=Freight Trainという言葉は、ホーボー・ソングに用いられる定番だ。この言葉が、明日の成功を願いつつも今は未だ叶わぬ若者と、主人公を想像させるキーワードになっている。貨物列車の時代から数十年、飛行機の時代のホーボー・ソングである。 



 酒の味は旨かった。しかし女達はすべて「fast」だった、とある。この「fast」には、近づいては来るものの、すぐに行ってしまったという意味が込められている。移り気な女といったことになるのだろう。酒場の様を描く一節だ。ほろ苦さがにじむ。
 歌の最後は、「自分の道を歩いていこう」として希望的に結ばれる。彼はまだ、自分を捨ててはいない。



 1966年のゴードン・ライトフットのデビュー・アルバムに収録される前から、数多くのアーチストによってカバーされてきた。
 ヴァースの冒頭、「In The Early Morning Rain」の「Morning」から「Rain」へと移っていく部分に用いられるコード進行が、この曲の表情の一端を決している。ここがアーチストによって、少しずつ違っている。ジュディ・コリンズは、作者版そのまま。同曲を他アーチスト版と聞き比べる際の参考とされると良いかもしれない。(大江田信)


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