Ray Kinney and His Aloha Serenaders / The Voice Of Aloha

Hi-Fi-Record2007-01-25

 それぞれに力のあるアーチストが演奏すると、こんな風になるんあだなと実感させられたアルバムだ。


 ゆる〜いグルーヴが音楽の中心に流れている。その流れにウクレレ、ギター、スチールが、それぞれの技巧を織り込みながら、すべるように乗っている。それぞれが出しているサウンドが、絶妙に絡み合っている。
 レイ・キニーのボーカルの後ろで、ウクレレが絶妙なコード弾きを入れ、スチールがオブリガードを交えている。コーラスが涼しげにハモる。観客の拍手に埋もれて、メジャー7系のテンション・コードがドリーミーにエンディングを閉じる。
 英語によるハワイアンが中心になっているとはいえ、ハワイ語による作品がうまく交えられている。メインランドからの観光客を聴衆としているにもかかわらず、英語作品偏重となっていない。こういうまとめ方もいい。



 ワイキキの超一流ホテル、ハレクラニでのライブの模様。1966年に発表されたアルバムだ。この当時、ハレクラニではいつも超一流のハワイアン・アーチストがブッキングされていたと聞いたことがあるが、さもありなんと知ることになった。
 60年代も半ばに入ってくると、クイ・リーなどによるモダン・ハワイアンが、新しいトレンドになる。ここで演奏されているのは、そのモダン・ハワイアンが台頭する直前のスタイル。言い換えれば50年代に一世を風靡したスインギーなジャズをベースにしたハワイアン、その最後期の充実、そして次への橋渡しを思わせる演奏だ。



 ストリング・バンド・タイプのジャズが好きなファン、あるいは40年代くらいまでのジャズ・ギターが好きな方の耳にも、楽しいアルバムではないかと思う。
 おそらくここで演奏しているプレイヤー達は、おそらくそういう音楽を聴いていたに違いないからだ。(大江田信)



Hi-Fi Record Store