Freddy Morgan フレディ・モーガン / Bunch・A・Banjos

Hi-Fi-Record2007-01-26

ある日あるひととしたお話。


とある天才肌の若手外人ピアニストを見ての問い。
「どうしてあんなしかめっ面で弾かなくちゃならないんですかねえ?」


そのひとの答え。
「そりゃあ、難しいことやってるんだから難しい顔になるわな」


もちょっと食い下がってみた。
「ってことは、ニコニコしながら難しいことやるひとは、その分すごい?」


答え。
「それと音楽は別だけどね。
 あと、たいていの場合、ニコニコしながらやってたら
 どんな超絶技巧で演奏してても、
 マジメに受け取ってもらえないんだよねえ」


プチ納得。


しかし、今から半世紀以上も昔、
アメリカの誇る冗談音楽ビッグバンド、
スパイク・ジョーンズ楽団で繰り広げられていた演奏は、
まさにそういうものだった。


つまり、
マジメに受け取ってもらえないようなことなら、すべてやってみる。
顔だって作る。
難しい顔なんかもってのほか。
ありえない顔ならしていいぞ。
その代表格がこのフレディ・モーガン


とっちゃん坊やなえびす顔で
どんな指示でも弾きこなすバンジョー弾き。
いつも極端な笑い顔をつくっているうちに
ひょっとしたら地顔が笑顔になったまんま
元に戻らなくなっちゃったのかもしれない。
そんなハッピーサッドなストーリーを妄想してしまったら、
もうこのレコードをかけずにはいられない。


フレディ・モーガンのレコードは
ハイファイに鎮座するえびす様みたいなものなのだ。(松永良平


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