Anita Kerr And The French Connection アニタ・カー / Same
70年代に入ってアニタ・カーはオランダ・フィリップスと契約。だったらオランダ盤をコレクトしなければと書いてから、数ヶ月。オランダ盤、イギリス盤、ドイツ盤とヨーロッパ盤が相次いで到着し、いろいろなことがわかってきた。
70年代当時に日本フォノグラムからリリースされていた日本盤は、ほぼ同時期、同内容のリリースと思われるので、こちらの検証もしてみたい。担当のディレクター氏が、アニタ・カーの音楽に情熱を持ってリリースをしていた節がある。
アニタ・カー・シンガーズの所属レコード会社をまとめると、下記のようになると思われる。
58年〜60年 米デッカ
60年〜60年代中期 米RCA
60年代中期〜後期 米ワーナー
60年代後期〜70年頃 米ドット
70年初頭〜75年頃 オランダ・フィリップス
75年頃〜79年 米RCA
オランダ・フィリップス期のアニタ・カー・シンガーズのアルトは、ほぼジャッキー・ワードだ。オランダ盤や英国盤では、メンバーがそろった顔写真がジャケットに使われていて、そちらでも確認できる。
1975年にRCAから10数年ぶりにチェット・アトキンスと組んだ作品を発表。それからしばらく間をおいてリリースされたのが本作。70年代初頭からスイスに暮らしている彼女が、彼の地のシンガーたちとグループを組織して、素敵なコーラスを響かせている。本作はアメリカ盤がオリジナル盤としていいだろう。
アニタ・カーは、なにしろ作品の多い人だ。
ナッシュヴィル時代には、朝一番でラジオ・ショーの仕事をして、それが終わるとスタジオに入り、午後から夜にかけて、何曲ものレコーディングでコーラスをこなしていたとコメントしている。
そのコーラス内容の水準がいつも際だって高いことに驚かさせる。
もちろんこのフレンチ・コネクションとの作品も、素晴らしい内容だ。(大江田)