The Lettermen ザ・レターメン / Love Book

Hi-Fi-Record2007-02-05

元旦早々、銀座に行った。
プラダを着た悪魔」を観に行ったのだ。


あまり知られていないが、
1月1日も、毎月1日(ついたち)恒例の映画ファン感謝デー。
鑑賞券はひとり千円均一になっている。
正月気分で財布もゆるんでいるので、
お得感も倍増した気分になれる。


その日、銀座に早く着いたので
夕暮れの街を散歩した。


数寄屋橋の横長いビルの前を通れば、
いやおうなしに、今は無き中古レコード店
「ハンター」のことを思い出す。


そして、ぼくにとって銀座の「ハンター」の思い出と言えば、
レターメンの「ラブ」であった。


「洋楽ラ行」のシングル盤をめくったときの体験は忘れられない。
次から次へと出るわ出るわ、レターメンの「ラブ」。
「ラブ」「ラブ」「ラブ」「レイフ・ギャレット」「ラブ」
「ラブ」「ラブ」「ラヴァーボーイ」「ラブ」……。
ちょっと誇張もあるけれど、印象としてはまさにそんなもの。
権藤、権藤、雨、権藤、権藤……」の世界だった。


それがトラウマになったのか、
長い間、レターメンへの意味も無い偏見がぬぐいされなかった。


だいたい、その「ラブ」が
ベルト・ケンプフェルトの「ラブ」なのか
ジョン・レノンの「ラブ」なのかも知りもしなかったのに。


レターメンを新しい耳で聴き直すようになったのは、
ここ数年のこと。
正確には「聴き直す」という表現も正しくない。
たぶん、今初めてぼくはレターメンをちゃんと聴いている。
そして、心をふわっと撫で付けるそのコーラスや
当時のアメリカ西海岸の音楽的デリカシーが集約されたバックのアレンジに
結構やられている。


今「ハンター」があったら、
シングル盤をめくりながら、
「昔のひとは耳がススんでたんだねー」
言ってたりするのかもしれないね。(松永良平


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