The Hi-Lo’s ザ・ハイローズ / Listen!
フォー・フレッシュメンと並ぶ
アメリカの男性ジャズ・コーラスの雄。
モンドリアンの作品を拝借したようなこの美しいアートワークの
10インチ・レコードが彼らのファースト・リリースだ。
楽器の音をコーラスに置き換えて、
自由闊達なオープン・ハーモニーを展開したフォー・フレッシュメンに対し、
彼らは正確無比なテクニックを駆使したクローズ・ハーモニーで
声の芸術を創造した。
フォー・フレッシュメンが時代の移り変わりを経て
メンバーを入れ替え続け、
現在は全員が新しいメンバーになった
何代目かのフォー・フレッシュメンとして活動しているのに対し、
ハイ・ローズはオリジナルの編成を重視し、
60年代半ばに一度解散。
リーダーのジーン・ピュアリングは
その後、シンガーズ・アンリミテッドで名をなすが、
ハイ・ローズとしても70年代に再結成を行い、
2枚のアルバムを残し、再び解散している。
メンバーは替わってもという屋号が残れば良しとした
野球チーム的なスタンスを持つフォー・フレッシュメンに対し、
ハイ・ローズはオリジナル・メンバーにこだわり、
替えが効かない個性の集合体として自らを規定していた。
その辺の違いも面白い。
考えてみれば、ハイ・ローズの名前の由来自体が、
ふたりののっぽと、ふたりのちびで結成されたという
自分たちのかけがえのないキャラクターから来ているのだ。
ああ、それとも、
「ヴォーカル求む、ただし“ちび”に限る」とか、
そういう募集広告は
きわどすぎて出しにくかったのかもしれないねえ。(松永良平)