Greg Brown グレッグ・ブラウン / The Iowa Waltz

Hi-Fi-Record2007-02-10

 せっかくアメリカで買付をして、それも年に2ヵ月ほどの時間をアメリカで過ごしているというのに、あまりライヴに行くことがない。これからは、もう少し熱心にライヴに通ってみたい。
 グレッグ・ブラウンは、ライヴを観た数少ないアーチストの一人だ。



 彼はミネソタのフォークの重鎮のひとり。名物音楽ラジオ番組「プレーリー・ホーム・コンパニオン」の常連でもある。
 低く響くバリトン・ヴォイスで重心の低い語り口で、苦みの利いた歌を聴かせる。



 日本での知名度の低さに、それほどでもないのだろうと思いつつ会場に着いてみると、そこは街随一の大ホールで、しかも満員の聴衆。袖の短いハーフ・スリーヴ・シャツをまくりあげて、並み居るご婦人達のため息をさそいながら、淡々とステージをこなしていた。



 いくつも好きな彼のアルバムがあるが、このアイオワ・ワルツは格別だ。アルバム冒頭のタイトル曲が、たまらない気持ちを誘う。
 何もない一本道を歩く二人が描かれたジャケットを手に取りながら耳を傾けると、ほこりっぽい中西部の夏の午後の風景が眼前に浮かんでくる。それはDaydreamと呼ぶよりも、日本語で白日夢と形容する方が、ピッタリと来る。遠くの向こうに小さな家が蜃気楼のように、見えて来る気がする。(大江田信)


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