A Touch Of Grass ア・タッチ・オブ・グラス / A Touch Of Grass
ブルーグラスは2ビートの音楽だ。すなわち4分の2拍子。4拍子のうち、1泊目と3泊目にビートのアクセントが来る音楽だ。
おおよそのスタイルが固まった1950年代初頭頃から時代を下るにつれて、2ビート音楽に間違いないはずのブルーグラスのリズムに、微妙な変化が起こり始める。
表向きには2ビート体裁を取りつつも、演奏家達が4ビートや8ビート、はては16ビートを感じながら演奏をするようになる。
言い換えれば、微妙に横揺れする2ビート、あるいは奥行きのある2ビートを感じさせるようになるのだ。それは2,4、8、16のビートが同時に響き合うことから生じてくる。これに気がつくと、ブルーグラスの楽しみがグンと増す。
そうした新世代ブルーグラス・バンドのひとつ。
新世代ハワイアンまで視野に入れたレパートリーの広がりも興味深いと同時に、やはりビートの組み立てに思わず耳が行く。
こうなるとブルーグラスとは、音楽スタイルと言うよりも、楽器編成の方法に対しての呼び名なのかも知れないと思いはじめる。
2ビート音楽のこうした進化は、なにもブルーグラスに限った出来事ではない。
ウェスタン・スウィングやカントリー、フォークの世界でも、ジャズの進化、ロックの登場などと響きあうことによって、本来の2ビートに変化が起きている。(大江田信)