Les Brown Jr. / The Wildest Drummer Yet!
こないだの買付で、
親しいレコード店の店主と一緒に食事していて、
話の流れで「親の七光り」という言い回しを説明する羽目になった。
「親のおかげで息子に後光が7つ差す」つまり、
「偉い親を持つ子供がそのせいで得をするようなこと」と言ったら、
「おー、それはRiding on coat tailsってことだな」と教えてくれた。
コートの裾に乗っかって得をするわけだから、
むしろ「ひとの尻馬に乗る」とか「漁夫の利」に近い気もするけれど、
意味は確かにあっている。
ショウビズの世界でも、
よかれあしかれ世襲はある。
フランク・シナトラのジュニアもデビューしているし、
サミー・デイヴィスは最初からジュニアだ。
レス・ブラウンは50年代から70年代にかけて活躍したバンド・リーダーで、
彼にも息子がいた。
この息子が、なんとドラ息子、いや、ドラム息子であった。
後にも先にも残したアルバムはこれ一枚きりなので、
父ブラウンのコートの裾は、やや短かったということになるのかな。
わがままでなければ叩けないドラムの音色がして
ぼくはかなり好きなレコードだ。(松永良平)