Rick Derringer リック・デリンジャー / All American Boy

Hi-Fi-Record2007-02-23

「It's Raining」という曲で
ぼくが好きな曲が2曲。


ひとつはアーマ・トーマスの歌う
ラブリーなニューオリンズ・バラード。


もうひとつの「It's Raining」は、
リック・デリンジャー
ソロ・デビュー・アルバムに入っている。


ロックが好きなロック馬鹿を絵に描いたようなジャケットなので、
一瞬、手を引っ込める方もいるだろう。


でも、リック・デリンジャーはあなどりがたいひと。
ロック馬鹿のふりをした知性派で
ジョニー・ウィンターの参謀を長いこと務めた。


ちょうどエドガー・ウィンターにとっての
ダン・ハートマン的存在。


あのウィンター兄弟のガチンコなロック魂に
ポップでメロウなスパイスを
絶妙にふりかけるのがうまいのが共通点。


で、「It's Raining」。
エレピとハーモニカが演出する雨降りの中、
雨宿りしながら何かを待っているといった風情。
2分足らずの曲で、あっと言う間に雨があがるけど、
音のにわか雨で心を洗うには充分なのだ。
あとはまた、からっとしたロックが続く。


有能なマルチ・ミュージシャンでもあり、
その気になれば、
トッド・ラングレンも顔負けのアルバムの一枚くらい作れただろうが
不思議ともったいない気はしない。


おとなになってもカレーとハンバーグが大好きだ!
という感じの彼のやんちゃなロック魂が
きっと肝心なところで顔を出すのだろう。
ぼくには、どうにも憎めない。(松永良平


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