Jose Feliciano ホセ・フェリシアーノ / 10 To 23

Hi-Fi-Record2007-02-24

 ぼくの好きな「It's Raining」は、P,P&Mが歌うチルドレン・ソング版のそれ。もともとはイギリスのマザーグース「It's Raining」が土台になっていて、それに手を加え組曲風にして構成しているものだ。いつもはやや低めに設定されているマリー・トラバースの声域が、この曲に限ってやや高めを用いられていて、それが彼女の声を子どもっぽく可愛らしく響かせている。



 ホセ・フェリシアーノが、このアルバムに収録されている「雨のささやき」(原題「Rain」)の真ん中部分に「It's Raining」を挟み込んでいる。マザーグースの「It's Raining」を喚起する意図があるのだろうと思うのだが、なにしろP,PM版ととてもよく似ているので、P,P&Mファンとしては彼がなんらか意識をしたのかもしれないという思いも残る。



 マザーグースの「It's Raining」の歌詞では、頭をぶつけて朝になっても目を覚ますことのない老人のことを歌っている。ちょっと不気味だ。
 本編の「雨のささやき」の歌詞はと言うと、「雨粒が落ちるたびに / キミのことが好きなる」と歌うラヴ・ソング。シンプルな歌詞でわかりやすい。雲の上にいる場面を思い描く2番の歌詞が、ちょっと不思議といえば不思議だけれども。その後にマザーグースが出てくる。



 英語圏の人にとっては、マザーグースは何とはなしに覚えてしまって、身体にしみ込んでいるものなのだろう。ということを改めて思わせるホセ・フェリシアーノの「雨のささやき」。歌詞の意味を追っかけているだけでは、たぶんマザーグースには、届かない。
 いずれにしても懐かしいヒット・ソングのひとつでもある。ボクは雨の日好きなのだ。(大江田信)



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