Chet Atkins チェット・アトキンス / Solid Gold ’68

Hi-Fi-Record2007-02-27

その年のヒット曲を自分のギターで回顧する。
このアルバムで名手チェット・アトキンス
やっているのは、そういうことだ。
この翌年には「Solid Gold '69」というアルバムも出している。


ポップスの世界で過去にあったトレンドで
現在、ほとんど行われなくなったことのひとつに
他人のヒット曲のカヴァーがある。


権利関係に端を発する金銭的な問題が大きくなったのか、
それとも単にカヴァーしたくなるほど魅力的なヒット曲がなくなったのか、
ここでは理由は問わない。


ただ、こういうアルバム、
今の時代に誰かがやってたらぼくは買うかもしれない。


楽曲がひとつの素材になって
誰か(この場合はチェット・アトキンス)の手に委ねられるとき、
デフォルメされた曲から思わぬ魅力を再発見することがある。


平たく言うと、カヴァーのおかげで原曲を好きになるということだ。


そうしたら、J-POPがつまらない、なんて言い草を、
ただの聴かず嫌いにしてくれるかもしれないじゃないか。


ちなみに、この1968年(ぼくの生まれた年)のヒット曲集では
ローラ・ニーロの「Stoned Soul Picnic」が素晴らしい。
良い曲は良い作り手にカヴァーされると、もっと良くなる。
その見本のひとつだ。(松永良平


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