Ray Conniff レイ・コニフ / I Write The Songs

Hi-Fi-Record2007-03-16

春が近づいてくると鼻唄も弾む。
チャンチャカチャンチャンと歌詞とメロディのようなものを
口ずさむわけだ。


しかし、この鼻唄という文化には欠点がある。
本人は原曲のニュアンスを簡略化及びエッセンスを抽出し、
絶妙に外に伝えているつもりなのだが、
たいていの場合は
「おまえ、それ無理あるよ、絶対」
という指摘から逃れることが難しいのだ。


ヴァン・マッコイが作り出したモンスター・ヒット「ハッスル」は、
そういうジレンマを完璧に克服した曲だとつくづく思う。


誰だって、あの「パッパッパッパッパッパ」を口ずさめば、
それが「ハッスル」だとわかるようになっている。


メロディの中にリズムがある。
曲の持つ晴れやかなフィーリングもある。
あと、結構重要なのが、
歌詞がスキャットだけなので日本人でもすぐ歌えるってことかな。


もちろんヴァン・マッコイのオリジナルは素晴らしいけれど、
ハイファイではここ数年は、
このレイ・コニフのアルバムに収録の「ハッスル」がベストセラー。


オリジナルよりも晴れやかさ2倍増し。
「瞳は君ゆえに(I Only Have Eyes For You)」とミックスするという
大胆な仕掛けで、オールディーズ・ファンの心も揺さぶってくる。


この明るさはお花見の季節によく似合う。
レイ・コニフでは定番の
ジャケット美女(「レイコちゃん」と店内では呼ぶ)と、
缶ビールで乾杯したい気分なのだ。(松永良平


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