Leo Diamond レオ・ダイアモンド / Subliminal Sounds

Hi-Fi-Record2007-03-18

「バーチャル」には受動型と能動型とがあると思う。


いちおうテレビゲーム世代として、ゲームでバーチャルの受動型、能動型を分けてみた。


前者は、一世風靡したコナミときめきメモリアル」シリーズ(通称・ときメモ)や、昨今話題のバンダイナムコの「iDOLM@STER-アイドルマスター」(Xbox360ソフト)などだ。
アイドルマスターにおいては、ネット上で衣装のみならず、登場するキャラクターのメールアドレスまで(!)買えるのである・・・現実世界のお金で。
「頑張って見栄はって、おごって、ヨイショして、悩み相談聞いてあげて・・・メールアドレスGET!」というような現実世界と同じくお金がかかるようですw。


後者は、プロダクトデザインも素晴らしいバーチャボーイ(任天堂)、Wii任天堂)、最新のものでは「EmotivDevelopmentKit」(EDK)など、五感でバーチャル空間を楽しむもの。


レオ・ダイアモンドが想像したバーチャル空間は後者だろう。


お目々がパチクリまばたきする3Dプレート付きジャケットの本作は、空間がグンニャリ曲がっちゃうような感覚に襲われる自然音のコラージュ、あくまでも耽美でスローテンポであることが、余計に楽曲を狂おしいものにしているエキゾ・ファン必聴のアルバム。ハーモニカでこんなに幽玄で妖しい作品を僕は他に知らない。


レオ・ダイアモンドは1950年代半ばから活躍するSABPM(最近使われることも少なくなりましたがスペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージックの略です)の中でも珍しいハーモニカ奏者。ジャズ、ポピュラー音楽の名曲を少ない音数で、ただただいわゆる"モンド"で終わらず、楽曲の持つメロディを大切にしているところが良い。彼の諸作の中でも本作は、彼の漠とした夢想をうっかり覗いてしまったかのような感覚が楽しめる傑作だ。


そういえば世界中で話題のネットバーチャル空間「セカンドライフ」が日本に本格的に参入するという。
このネット上という第2の世界で儲けた人、財を成した人もいる。被害を被ったひともいるだろう。セカンドライフ内で、すでに強盗・ワンクリック詐欺などの犯罪があるという。そして、それを伝えるメディアまで。歩けば、大手企業の広告・代理店なども賑やか。通貨リンデン・ドルは現実世界の通貨に換金可能というところが肝だ。


「現実世界で大変な君には関係ない罠w」

レオ・ダイアモンド「Subliminal Sounds」を聴いていると、そういう「サブリミナル・メッセージ」聴こえるやら、聴こえないやらw。レオ・ダイアモンドの朗らかで懐かしいバーチャル・サウンドが身近で新鮮に響く今日この頃。(藤瀬俊)


Hi-Fi Record Store