Jerry Jerome ジェリー・ジェローム / On The Wild Side
世の中に不思議なかたちをした楽器はあまたある。
レコード・ジャケットや雑誌で、
そういうものを目にする機会は
職業柄、普通のひとよりも多いと思う。
しかし、このおじさんの吹く、
縦長のアルトサックスには度肝を抜かれた。
ディジリドゥもびっくりという長さ。
写真が暗くてわかりにくいが、
座った足元のすぐそこまで先端は伸びている。
メロディを出すために押さえる蓋(?)も膝の下まで!
そんなところを押さえて出る音って、
いったいどんなんだ?
で、聴いてみると、意外と普通の音です。
ということは、このひとは
この長さが好きなんだろうな。
座って吹いているからまだいいが、
立って振り回したら立派な武器だ。
曲によって、激しくスイングしまくるリズムもあるので、
そういうときは虚無僧みたいにじっとしているわけにもいかないだろう。
眺めているだけで謎が染み出る。
音からはソウルがにじみ出る。
一枚で二度おいしい、と
ぼくは本気で思っている。(松永良平)