Bossa Rio ボサ・リオ / Bossa Rio
セルジオ・メンデス&ブラジルの弟分としてデビューしたボサ・リオ。ボサ・リオと言えば、ヒット曲「サン・ホセへの道」だ。
この邦題はいつ頃付けられものか、おそらく60年代末の頃だろうと思うけれども、このまま充分に定着していて、今でも「Do You Know The Way To San Jose」と言えば、「サン・ホセへの道」ということになっている。
最近ではSan Joseは、サンノゼと表記されるようになった。今もしも邦題を付けるのだったら「サン・ノゼへの道」ということになるのだろうか。
San JoseはIT関連企業のメッカ、サンフラシスコの南、シリコン・ヴァレーに位置する大都市だ。近隣に全米でも最も平均所得の高い層が暮らす地域もあるものの、それは1970年代以降のことで、この歌が書かれた1960年代は、今ほどには裕福なエリアではなかったようだ。ただし南の陽光ふりそそぐ、牧歌的な地域であることには間違いない。
San Joseをサンノゼと記すようになったのも、コンピューター産業の伸張と共にこの地域が有名になってからのことだし、だいち本来の発音がなまって変わってしまってのカタカナ表記とされている。原音により近く表記すると「サノゼイ」または「サンホウゼイ」となるそうで、 San Jose市の発行する日本語のパンフレットには「サンホセ」と表記されているという。
こうなるとサンノゼとサンホセのどちらを用いるのが正しいのか、よくわからない。
「Do You Know The Way To San Jose」は、やはり「サンホセへの道」がいい。
この歌、週末のドライヴでサンホセに遊びに行くといった楽しげな中身ではない。成功を夢見てロスに出てきた主人公が、数年を経て夢敗れ、友達もいっぱいいるサンホセに帰りたいと独白する内容だ。
ほろ苦くしょっぱい味がするボサノヴァ。( 大江田信)