Liz Seneff リズ・セネフ / Sings Folk Songs, Ballads and Blues

Hi-Fi-Record2007-04-11

 昨日のバッド・ダッシェルの女性版をご紹介しよう。
 高校で歌を始め大学卒業後もピッツバーグ、マイアミ、シカゴ、サンフランシスコ、そしてニューヨークのクラブで歌っていたところ、キングストン・トリオを抜けたデイヴ・ガードにウィスキー・ヒル・シンガーズの一員となるように誘われた。それが1962年のこと。その後にロスのハリウッド・ボウルを始め、彼ら(デイヴ・ガードと、恐らくサイラス・ファーラー(後にMFQの一員)。そしてベースのデヴィッド・ウィート)と共に、ツアーを共にした、とライナーに書いてある。
 ちなみにここに登場する都市の名前は、どれもフォークが盛んだった街。こういうところに62年ごろにフォーク・クラブがあったんだとわかる。



 彼女の名前は、リズ・セネフ。リズはエリザベスの愛称なので、正しい名前はエリザベス・セネフということになるのだろうが、これまでに書かれたフォーク史のどこを引いても、この名前は出てこない(リズは後々、テレビやラジオの世界に進んで成功をつかんでいるとライナーにある)。
 レコードになっているウィスキー・ヒル・シンガーズには、ジュディ・ヘンスキが参加している。
 清涼感のあるリズのキャラクターと比べると、ジュディは押し出しが強くて、タフな女性という感じ。彼女の歌うフォーク・ブルースの迫力は、それはそれは凄い。



 レコード好きの常なのか、このアルバムでしか彼女のことを知ることが出来ないとなると、ますます肩入れしたくなる。クレジットされている制作関連スタッフに、誰一人として既知の名前が無いことにも、なんとも言えない思いを駆り立てられる。



 さらっとした語り口が、バッド・ダッシェルに似ているし、ガット・ギターを中心に組み立てられたバック・サウンドの渋くくぐもったサウンドもバッドのアルバム「I Think It's Gonna Rain Today」と同質のものだ。
 こんな雨の日に、ちょうどいい。(大江田信)


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