Duane Eddy デュアン・エディ / Have ”Twangy” Guitar Will Travel

Hi-Fi-Record2007-05-01

今でもほとんどギターが弾けないぼくだが、
弾こうと思ったことぐらいはある。


初めて買ったエレキギターは質屋で。
確か4千円くらいで、
偽物のレスポール


家に帰り、
ギターアンプも無いので、
ステレオのシステムコンボにジャックを突っ込む。
(してはいけないことです)


ツーン。
そんな鈍い弦の音がしたかしら。


あれ? おかしいぞ。
どうしてギュワオワオギュイーンって、
あのレコードでいつも聴いてるような音がしないの?


もちろん、エフェクターというものの存在は知っていたし、
音の電気的な加工によって、
エレキギター特有のサウンドが生み出されることの
イロハくらいは知っていた。


だけどよお、である。
少しはおれの指先に宿れよ、魔法。
何度弾いてみても、
ツンテンツンテンと愛想無い弦の音がするばかり。


たぶん、そのときぼくが出したかった“素”の音が
デュアン・エディが弾くような、
ドスの効いた、それでいて揺れのある低音。
すなわち、彼のトレードマークである”トゥワンギー・サウンド”。


もっとも、デュアン・エディを聴いたのは
もうずっとあとになってからのこと。
ああぼくはあのとき、こんな音が出したかったんだと
妙に感激したのを覚えている。


デュアン・エディのギターの良さは、
初めてエレキギターをさわったときに
生でこういう音を出るはずだと思わせるところにあるのかもしれない。


それってつまり、
すごく職人的な技巧なのに
音にはいつまでも初心が宿っているということなのだ。(松永良平


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