Prefab Sprout プリファブ・スプラウト / Steve McQueen
プリファブ・スプラウトの曲を初めて聴いたのは
小林克也さんがFMでやっていた深夜番組。
流れたのはファースト・アルバムの「スウーン」から
「クドゥント・ベア・トゥ・ビー・スペシャル」。
「イギリスからまたユニークな新人バンドが現れましたね」
と紹介コメントは普通だったが、
確かに曲はふわふわと揺れながら
沈み込んでゆくようなユニークなものだった。
そして、ぼくの記憶が確かなら、
その週には
ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンが
ヨットハーバーで溺れ死んだというニュースも
ラジオから伝えられたはずだ。
前後がごっちゃになっているかもしれないけど、
とにかくプリファブ・スプラウトというと、
今でもデニス・ウィルソン死亡のニュースを思い出してしまう。
やっかいな記憶だ。
それからしばらくして、
彼らのセカンド・アルバムが出た。
それがこの「スティーヴ・マックイーン」。
何故、このアルバムのタイトルが
あの名優でなくてはならないのか、
当時はよくわからなかった。
だが、あるときテレビで映画を見ていて、
不意にこのアルバムのことを思い出した。
あのバイクに乗ったポーズは
映画「大脱走」でスティーヴ・マックイーンが見せるものなのだ。
プリファブ・スプラウトは
ぼくにとって奇妙に記憶とリンクした連中だった。(松永良平)