Carl Sanburg カール・サンドバーグ / Flat Rock Ballads

Hi-Fi-Record2007-06-09

 真実は小声で語られるものと思っている。
 マイクの前で大声を張り上げ、手を振り廻しながら口角泡を飛ばして散らかる言葉には、真実なんて感じられない。自信満々にして押しまくるその種の声には、馴染めない。


 カール・サンドバーグは、20世紀前半に活躍したアメリカの民衆詩人。13歳で中学を中退してからは、さまざまな職業を点々として、38歳で出版した詩集「シカゴ」をきっかけに広く知られるようになった。
 フォークソングにも熱心で、ソングブックを編纂したり、自身のギターをつま弾きながら歌ったいい味のレコードを残している。


 彼の詩のスタイルにも似て、その歌い口はきわめて平易で親しみやすい。若いときの恋の過ちや、口承で伝えられてきた英雄奇譚などを、さらっと歌っている。
 いつかどこかで耳にしたことのあるような、懐かしい香りがする。


 小声で歌われるうたに気持ちが惹かれ始めている、このところの僕を遠くまでぐっと引っ張っていくアルバムだ。(大江田信)



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