Herb Alpert & The Tijuana Brass / Whipped Cream & Other
西海岸のとあるレコード店で聞いたお話。
妙齢のご婦人が
あるときお店に現れて、
バーゲン・コーナーで売っている
ティファナ・ブラスの、このアルバムを
まとめ買いして帰っていったという。
数ヶ月が経って、
またまたそのご婦人がお店にやって来た。
買うのは、またしてもティファナ・ブラスの「ホイップド・クリーム」。
興味をそそられて、主人は訊ねた。
「どうしてこればっかり買うんだい？」
彼女は答えた。
「あたしが、この娘なのよ」
オー・ノー！
おれ、ガキのころ、あんたの写真見て
ムラムラしてたんだよ、と主人が言ったとか言わないとか。
何でも彼女は
このアルバムに直筆のサインを加えて
インターネットのオークションに出しているんだそうだ。
並べて見れば、
確かに40年ほど時間は経っているものの、
彼女は彼女だったんだよ。
それにしても、まさかおれの店に仕入れに来るなんてな。
フアッハッハッハッハ。
この話を読んで
早速検索をしたアナタ。
残念ながら、今では彼女のサイン入りのレコードは
もう見あたらない。
いや、ひょっとしたら
最初からそんな女性は存在しなかったのかも？
だとしても許せる。
これはレコードとレコード店が好きな者なら
心を奪われずにはいられない素敵な都市伝説だからだ。（松永良平）
