Caravelli And His Magnificnet Strings / San Remo Greatest Hits
タイトルにあるサンレモは、イタリアの都市。このサンレモで1951年から開かれている音楽祭で受賞した作品が日本でヒットしていた時代があった。ボビー・ソロの「君に涙と微笑みを」とか、ジリオラ・チンクエッティの「雨」などなど。60年代の半ば頃のことだ。
これはサンレモ音楽祭関連のメロディを集めた作品集で編曲と指揮がカラヴェリ。
サンレモのメロディを集めたポップス・オーケストラ作品って、ほかに見かけないような気がするのだろうけれども、どうなのだろう。
ドメニコ・モデューノが歌唱して第一回のグラミーを受賞した「ヴォラーレ」がふくよかなオーケストレ−ションで収録されている。カラヴェリによるヴォラーレには、2つのヴァージョンがあり、ここに収録されているのは比較的オーソドックスなもの。オリジナルに近いヴァージョンだ。
そしてもうひとつは、後年録音した16ビートのディスコ・ヴァージョン。前々回の来日コンサートではこちらが演奏され、華やかでライトなダンス感覚が映えた。
レイモン・ルフェーブルやポール・モーリアなど、多くのポップス・オーケストラが16ビートを取り上げた中で、カラヴェリが一番スマートだったように思う。リズム・セクションの人選がいいのか、それともトラック・ダウン時に工夫があったのか、カラヴェリの16ビートにはさらっとした産毛のような感覚がある。ビギン・ザ・ビギンの16ビート・ヴァージョンがいい。
ということもあってカラヴェリの16ビート版「ヴォラーレ」を長い間にわたって探している。しかしなかなか見つからない。
念ずれば通ずというアフォリズムがあるけれども、思いもかけずに見つかることがあるのもレコード。いつかどこかで出会えますように。(大江田信)