Chet Atkins チェット・アトキンス / Chet

Hi-Fi-Record2007-08-11

 チェット・アトキンスナッシュヴィルから放送されているカントリー・ミュージックのショー、グランド・オール・オープリーに初めて出演したのは1946年。一方でホーマー&ジェスロ、レッド・フォーリーなどのステージでバック・ミュージシャンを経験、その後にラジオショーのレギュラー出演者になると、アレンジの才能に賞賛が集まった。
 ナッシュヴィルで本格的なスタジオ・ミュージシャンとして働きだしたのが1949年。RCAナッシュヴィル支社のスタッフになるのは1953年のことで、彼のRCAでのソロ・アルバム制作もこの頃に始まっている。



 以来、膨大な量のソロ・アルバムを制作した。アルバムではさまざまなポピュラー音楽を演奏していて、ジャズ、カントリーはもちろん、ハワイアン、ラテンなどと音楽は幅広い。
 この作品はややカントリー色の強い内容で、よく知られたメロディを丁寧に、軽妙に弾いている。
 彼のギターの音色は、明るく暖かい。やや品行方正に過ぎるという声もあるが、その実、多くのアメリカ人の琴線に触れる音色ではないかと思う。



 RCAカントリー・ミュージックの一時代を築いたばかりでなく、地方ローカル色の強かったカントリーを全アメリカ的なヒット・ソングのテーブルに載せた偉大なプロデューサーでもある。RCAの副社長の地位にまで上り詰めた。
 晩年になってRCAのプロデューサーの職を辞した後には、RCAのライバル会社、コロムビアに移籍してギタリストとしてアルバム制作を続けた。一人のミュージシャンとして、自分を全うしたかったということなのだろう。
 これがぼくには、とても興味深い。(大江田信)



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