Michael Parks マイケル・パークス / Lost And Found

Hi-Fi-Record2007-08-14

アメリカのレコード屋に行くと
どの店にも必ずあるコーナーのひとつに
「セレブリティ(Celebrity)」という区分けがある。


ひとことで言うと「有名人レコード」。
俳優やタレント、有名人が歌ったような
レコードを集めたコーナーだ。


日本の音楽ファンは潔癖性というか、
門外漢は音楽にさわるべからず的な志向が強いためか、
日本ではこういう仕切りはあまり見かけない。


もっとも、
ぼくもかつてはその偏見を逆手に取って
「セレブリティ」のコーナーは
歌は素人であるがゆえの
度を超したおもしろさがある作品(たとえばメイ・ウェストとか)や
キャラをいかした洒脱さがあるひと(たとえばマーティン・マルなど)を
熱心に探していたふしがある。


だが、最近になって断然おもしろいのは
玄人はだしな作品の方だ。
人気スターであって
甘いマスクで
歌もそこそこいける。


そういうひとたちの作品は
実は豪華なスタッフで
手の込んだ丁寧な作りになっていることが
実に多いことを発見したのだ。


近年は「キル・ビル」なんかにも出演していた
マイケル・パークスは
日本で言えばどういう立ち位置だろうか?


強引かもしれないが、
中村雅俊奥田瑛二の中間みたいな?


60年代後半から70年代頭にかけて
もっとも人気があった彼のレコードは
数枚発売されているが、
その中ではこの一枚が
これから秋にかけては重宝しそうな
憂いがスパイスに利いた作品。


演技よりも素に近づいたような作風には
どれもセルフ・ポートレートめいた
愛おしさがあるのだ。(松永良平


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